そろそろ確定申告の時期ですね。
ということで本日はヘルメット治療が医療費控除の対象となるかどうか、について。

ヘルメット治療の医療費控除問題:結論

実はまめこ、かなり近い親族に税理士を本業としているものがおります。
(そして私も会計税務関係の仕事をしております。)
そんなまめこが考える、ヘルメット治療の費用の医療費控除問題について書いてみたいと思います。

まず結論から言うと、ヘルメット治療の費用は医療費控除の対象とはなりません

スターバンドもアイメットもミシガン式も全て同様です。

でも世の中には「ヘルメット治療の費用、医療費控除できた!」という報告や、「アイメットなら医療費控除の対象となる」といった情報がありますよね。何故でしょう?この理由についても触れていきます。

以下のとおり、順を追って説明します。

①何故、ヘルメット治療の費用は医療費控除の対象とはならないのか
②何故「ヘルメット治療は医療費控除の対象となる」と言う人がいるのか?

ヘルメット治療の費用が医療費控除の対象とならない理由

まず、①何故ヘルメット治療の費用は医療費控除の対象とならないのか について。

どんなものが医療費控除の対象となるかについては、国税庁のホームページに例示列挙されています。

※国税庁と聞くと「分かりにくそう‥」と感じて、初心者向けの書籍やネットに頼る方もいらっしゃるかもしれませんが、書籍は手間な上に情報が古くなる場合もあり、ネット上のまとめブログ等は信憑性の問題もあるので、国税庁のホームページを参照すると間違いありません。

下記は、国税庁のホームページのうち、医療費控除のタックスアンサーです。

この例示列挙を確認し、ヘルメット治療の費用に該当するものがあれば、ヘルメット治療の費用は医療費控除の対象になると言えます。

一部抜粋します。

↓↓↓
国税庁タックスアンサーNo.1122 医療費控除の対象となる医療費
[令和2年4月1日現在法令等]

1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
2 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

ヘルメット治療が医師による治療に該当しない理由

ヘルメット治療を受けるに当たっては、ヘルメット治療開始前に、まず赤ちゃんの頭の形の歪みの原因について医師による診断を受けます。

医師より「頭の歪みが病気が原因ではない」という診断書を受け取って初めて、ヘルメット治療を開始できます。

つまりヘルメット治療は、医師から「赤ちゃんの頭の歪みは病気が原因ではない=病気を治す必要はない=治療は不要」というお墨付きを受け取って初めて開始できるものであり、ヘルメット治療自体は医師による診療または治療とは無縁です。

したがって、「1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価」には該当しません。
ちなみにこれは、アイメットも同様です。

「アイメットは大学病院がフォローアップするため医療行為であり、医療費控除の対象となります!」と断定されている情報もありますが、これは大きな勘違いです。

それは何故か?

病院や医師による医療行為がすべて医療費控除の対象となるわけではないからです。

医師により行われる整形手術等が医療費控除の対象とならないのは有名ですよね。それと同様です。

では

医師による診療のうち医療費控除の対象となるものは?

この疑問については、さらに詳細なタックスアンサーを見ていくことになります。

ヘルメット治療はよく、歯科矯正に例えられます。
ここで、同じく国税庁のホームページの、歯科矯正に関するタックスアンサーを見てみましょう。

タックスアンサーNo.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
(2) 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

このとおり、美容目的の歯科矯正は医療費控除の対象とならないのです。

ヘルメット治療は国税庁から公表された明文がないので、こちらを参考に考えるしかありません。

ここで、ヘルメット治療の目的については、必ずしも美容目的ではない!という人もいらっしゃるでしょう。

かくいう私もその一人です。

AHSスターバンドヘルメット治療32日目:赤ちゃんの頭の歪みと発達の関係にも書いたとおり、赤ちゃんの将来の頭痛や肩こり、体のバランスの異常などを懸念して、ヘルメット治療を決意したわけですが‥

具体例な症状が「頭の歪み」のみですので、税務上は「生活に困難を生じさせる症状改善のための治療」ではなく「美容目的」と判断されてしまいます。

そのため「医療費控除の対象とはならない」と考えるのが妥当でしょう。

次に

2 治療に必要な医薬品の購入の対価に該当しない理由

こちらも1と考え方は同じです。

歯科矯正の例にある通り、ヘルメット治療は、あくまで審美目的の行為であり、税務上医療費控除の対象となる治療又は療養には該当しないと解されます。

というわけで、該当せず。

以上より、ヘルメット治療の費用は、国税庁にて例示列挙されている対象のいずれにも該当せず、医療費控除できない、ということになります。

②何故「医療費控除の対象となる」と言う人がいるのか?

ネットで少し調べると、「ヘルメット治療の費用、確定申告で医療費控除できました!」との報告ブログを散見すると思います。

結論から言うと、この方々は、税務署から「見つかってない」または「見逃されている」だけ。

本来は間違った申告が行われていることになります。

税務署で書類を提出するとハンコを押してもらえます。(収受印と言います。)

このハンコは「OKです!」じゃなくて、「とりあえず受け取りました、あとからチェックします」という意味合いなのです。

実務上の話をすると、毎年非常に多くの確定申告書が税務署に提出されます。

このうち、明細まで精査されるのはごく一部。

高所得者や、不正が疑われる方、異常な金額を中心に税務署職員たちが調べます。

世の中のヘルメット治療費を医療費控除された方々は、この精査の対象から漏れた、いわばラッキーな方々です。

もちろん、これらの方々が悪意があったとは思いません。

調べて迷って、「控除できる」と判断して申告されたのでしょう。難しい判断ですからね。

というわけで、正解を知っている我が家は、残念ですがヘルメット治療の費用は医療費控除いたしません。

ちなみに、ヘルメット治療の期間を考えると、出産費用と同年度となる人も多いと思います。そちらはお忘れなく控除しましょうね!

確定申告とは?
ヘルメット治療は高額療養費制度の対象か?

についても、後日アップしたいと思います。
それではまた。